旅行記2025 原美術館ARC(群馬県)

2025年4月、やっと訪れることができました。

群馬県渋川市、原美術館ARCです。

現在はすでに閉館していますが、東京都品川区で1979年より運営されていた原美術館(旧)は、原美術館ARCの前身であり、実業家である原 俊夫氏によって設立された私立美術館でした。

原美術館(旧)は、原氏が収集された現代美術を中心としたコレクションが展示されており、原氏の私邸を開放する形で運営されていました。

原美術館(旧)は、大変すばらしい美術館で、筆者も何度か訪問しました。

品川の高級住宅地に時が止まったように佇んでいた美術館。

ナム・ジュン・パイク、宮島達男、奈良美智、森村泰昌。

その展示作品はどれも現代美術を代表する名シリーズばかりでした。

いつも鑑賞者は少なかったものの、とても刺激的な空間でした。

しかし、建物の老朽化とバリアフリー化が困難なこと、2021年に閉館してしまいました

原美術館ARCは、原美術館(旧)の姉妹館として群馬県渋川市で運営されていた「ハラ ミュージアム アーク」がその前身であり、旧館の閉館に伴い、活動を集約することとなり、改名し、誕生しました。

群馬県渋川市 原美術館ARC
美術館の建築は磯崎新氏によるもの

ジャネット カーディフ 「40声のモテット」

今回の企画展はジャネット カーディフによる「40声のモテット」でした。

ジャネット・カーディフは、音響・メディア技術を駆使して、独創的なインスタレーションを手掛けるカナダの作家です。

「40声のモテット」は、40台のスピーカーそれぞれから違った人物の歌声が聞こえ、その場(展示室)で40人の歌声を聞いているかのような臨場感を感じる作品でした。

それ以外の仕掛けはありませんので、見た目的には40台のスピーカーがスタンドによって人間の背丈ほどの高さにセットされ、円形に並んでいるという状況です。

ちなみに、筆者は事情により片耳を失聴しています。

いわゆるモノラルでしか作品を楽しむことができませんでした。

なので、40台のスピーカー1台ずつに近づき、それぞれの歌声を聞いて楽しんでいました

しかし、曲の進行とともに音量が上がてくると、片耳からの情報であっても、その臨場感は感じ取れるほどでした。

また、展示は、磯崎新氏設計のギャラリーAが使用されていました。

高さ12メートルの天窓から自然光が降り注ぐ独特な時間軸を持つ空間と、作品の持つ臨場感が合わさり、実験的な音楽作品とは違う、インスタレーションの要素を強く感じる作品と感じました。

展示は撮影不可であり、お伝えするのが難しいです。

常設展も充実

常設展示では、草間彌生、奈良美智、宮島達男など、現代美術を代表する作家の作品も楽しめます。

特に草間彌生の作品、「ミラールーム(かぼちゃ)」は、作品だけでなく、展示室自体も(かぼちゃ)化しており、どっぷりと草間ワールドに浸ることが出来ました。

ただし、こちらも撮影禁止でしたので、ビジュアルはご紹介できませんが。

下の写真は野外展示されたアンディ ウォーホル「キャンベルズ トマト スープ」

筆者が訪れたのは4月中旬、関東の桜はすっかり散っていましたが、ここは北関東、群馬県。

少し肌寒い、しかし、すがすがしい空気の中、満開の桜を楽しむことが出来ました。

アメリカニューヨークのポップアート、前衛作家の代表、アンディ ウォーホルの作品と、日本の原風景ともいえる桜を配した庭園を同時に鑑賞できる不思議な体験となりました。

アンディ ウォーホル「キャンベルズ トマト スープ」高さはおよそ3メートル

原美術館(旧)でも常設展示されていた奈良美智、「My Drawing Room」

こちらは写真撮影可能とあって、おおくの方が写真撮影にいそしんでおられました。

奈良美智 My Drawing Room
例の犬もしっかりいます。

いかがでしたでしょうか?

筆者のつたない表現力では原美術館ARCの魅力は伝わりきらないかと思いますが。。。

東京品川から、群馬渋川へ。

原氏の現代美術への情熱と、収集にとどまらない多大な功績が、再確認できました。

なお、ジャネット カーディフ「40声のモテット」は、他の美術館でも巡回されているようです。

興味のある方はぜひ訪れてみてください。

おなじく現代美術を中心に展示していた千葉県佐倉市、DIC川村美術館の記事はこちら。

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